行政書士のダブルライセンスと言われて挙げられる資格の中に、ファイナンシャルプランナー(以下FP)があります。
行政書士資格とFP資格の組み合わせは相性が良いと言われており、業務の幅を広げる強力な武器になり得ます。
私は2023年行政書士試験の合格と、FPの3級しか持っていませんが、この2つの資格の相性や相乗効果、さらに開業後のメリット・デメリットについてみていきます。

行政書士とWライセンスに向いている資格を集めて掲載しました。
こちらも良かったら参考にしてみてくださいね。


ファイナンシャルプランナー(以下FP)資格って何?



まずFPについて分からないとイメージしにくいので、簡単にご案内してみますね。
まず本題に入る前に、簡単にFPとは何ぞや?という部分に触れていきます。
FP資格は、お金に関する総合的なアドバイスを行う専門資格と言えます。
FPは、個人や法人のライフプランを設計し、資産運用や保険、年金、相続、税金、住宅ローンなど、多岐にわたる金融分野でアドバイスすることができます。
特に、将来の資金計画を立てる際に役立つ知識を持ち、相談者の経済的な目標達成をサポートすることが主な役割なんですね。
FP資格(FP技能士試験)には複数のレベル、1級・2級・3級とあり、日本FP協会ときんざいという2つの団体によって実施されています。



そしてこのFP技能士は国家資格なんです。
そして民間資格ではありますが、AFP・CFPという資格もあります。
AFPはFP2級同等の難易度、CFPはFP1級同等の難易度となっています。
またCFPは国際的な資格で、米国CFPボードが認定しており、多くの国で導入されているため、難易度は高いですがその分信頼度も高い資格となっています。
FPの学習レベルとしては、まずFP3級は、個人の資産管理に役立つ基礎的な知識を学ぶレベルで、2級以上になると実務に活かせる専門性が高まります。
私も実際にFPを受験しましたが、お金にまつわる幅広い分野を勉強しました。
正直な所、私個人としては普通の生活で一生使わない知識もありますが、知らないで損をする可能性も大いにあるな、と感じた勉強範囲でした。



このことから個人的には、お金に関して幅広く勉強できるので、人生損をしないためにも、勉強しても良い分野なのではないかと、思える資格です。
特にCFPは国際基準の資格であり、より高度なコンサルティング能力が求められます。
FPの強みは、法律、税務、経済、金融、不動産などの幅広い知識を活かし、相談者の人生設計をサポートできる点にあります。
たとえば、「老後の資金はどのくらい必要か」「住宅ローンはどのように組めばよいか」「相続対策はどうすればよいか」といった具体的な悩みに対して、専門知識をもとにアドバイスを提供します。
ただし、税務相談や具体的な投資助言を行うには、それぞれ税理士や投資助言業の資格が必要であるため、FPとしての業務範囲には一定の制限があります。
これらのことから、行政書士と組み合わせることで、FPの知識を活かしつつ、法的な書類作成や許認可手続きもカバーできるため、より包括的なサービス提供が可能になると考えられます。
特に、相続や事業承継の分野では、行政書士の法的手続きとFPの資産管理アドバイスが組み合わさることで、依頼者にとってより安心感のあるサポートを提供できるでしょう。
業務範囲の制限に気を付ける必要はありますが、コンサルができる行政書士として、FPは相性の良い資格であると、考えられます。
行政書士とFP資格の相性とは?
行政書士は、官公署への書類作成や許認可申請、相続・遺言などのサポートを行う法律専門職です。
一方、FPは、個人や法人の資産管理、ライフプラン設計、保険や年金のアドバイスなど、お金に関する専門家です。
行政書士として開業するにあたり、何の業務をメインで扱うかによりますが、一般的には行政書士とFPでは業務内容が被るというか、並行するような部分があるため、扱いやすいと言えます。
この行政書士とFPの2つの資格が相性抜群な理由は、以下のような業務が補完し合えるからです。
- 相続・遺言業務
行政書士は遺言書の作成や相続手続きが可能。
FPの知識があれば、相続税対策や資産承継の相談まで対応できる。 - 法人向け業務
行政書士は会社設立や許認可申請ができる。
FPのスキルを活かせば資金繰りや事業計画のアドバイスも可能。 - ライフプラン相談
行政書士として法的な手続きをサポートしつつ、FPとして資産形成や年金相談にも対応できる。
①の相続・遺言業務では、行政書士試験では民法で相続や遺言の分野は試験範囲ですが、FPの知識の方が、依頼者目線と言いますか、より依頼者に近い内容で勉強することができます。
→ 相続手続きだけでなく、資産承継までトータルサポートが可能。
②の法人向け業務では、行政書士試験で商法・会社法は少し勉強しますが、実際のお金の動きなどは勉強しません。
その点FPではお金の流れを見ることができるので、資金繰りや事業計画を含めた会社設立業務がコンサルしやすくなります。
→ 起業家にとって、法務と資金管理をワンストップでサポートできるのは大きな魅力。
③のライフプラン相談では、FPとして相談業務を受けたあと、申請等が必要であれば、引き続きお仕事を請け負うことも可能です。
顧客側からすれば、ワンストップサービスで、他に依頼しなく良いので楽ですよね。
→ライフプラン相談だけでなく、必要な申請があればトータルサポートが可能。
このように考えると、行政書士の業務の前にFPの業務があり、それぞれの資格でカバーしあいながら仕事を進めていけると考えられます。
行政書士とFP資格を併用するメリット
行政書士がダブルライセンスとしてFP資格を取得することで、以下のようなメリットが考えられます。


ワンストップサービスの提供
行政書士の業務にFPの知識を加えることで、顧客に包括的なサポートをすることが可能になります。
たとえば、相続業務では「遺言書作成」だけでなく「相続税対策のアドバイス」まで一括で対応できるというような感じです。
このワンストップサービスは、顧客ファーストの立場に立てるので、喜ばれるサービスの1つとなりますね。
顧客の立場に立ったら、遺言でも相続でも、親身に相談に乗ってもらい、その上書類作成までしてもらえるなら、信頼感や安心感は一気にあがります。
行政書士とFPの知識をダブルで使えれば、より幅広く顧客に寄り添うことができるでしょう。
顧客の立場からしたら、より専門家色を色濃く感じることになるのではないでしょうか。
集客力アップ・差別化
「お金の相談ができる行政書士」として独自のポジションを築くことが可能です。



いわゆる差別化というヤツですね。
行政書士は特に大都市では人数が多いので、士業として生き残るにはこの差別化は重要です。
特に、相続や事業承継の分野では、FP資格があることで顧客の信頼を得やすくなります。
踏み込んだところで言うと、行政書士×税理士となると、よりお金関係に強い士業となるでしょう。
収益機会の増加
行政書士の業務オンリーではなく、FP資格を活かし、
- ライフプラン相談
- 法人向け資金計画アドバイス
- セミナー講師や執筆活動
などの新たな収益源を作ることが可能です。
FP資格を仕事として活かすには、より細かく実戦的な内容を勉強するFP2級以上の知識は欲しいところです。
私が個人的に思う所なのですが、FP資格単体のみで開業をするのは、行政書士よりも難しいいのではないかと考えます。
もちろんFPとして成功されている方もたくさんいらっしゃいます。
ですが、もし私がFP2級までを取得して、FPとして開業するとしたら、行政書士を開業するよりも成功するイメージが湧きません(個人的な感想ですが)。
保険会社の勤務経験もありませんし、FPを取得しただけの知識のみで、ライバルと渡り合えるとは到底思えないからです。
その点行政書士×FPとなれば、お互いの資格を上手く組み合わせて、活躍の場を広げられる戦略を持つことができるのではないでしょうか。
行政書士とFP資格を併用するデメリット



注意すべき点はきちんと把握しておかなければいけませんよね。
行政書士とFPの組み合わせだけでなく、ダブルライセンス全般に言えることですが、それぞれ注意すべき要件があります。
業務範囲の制限であったり、登録料を含めたお金の関係だったり様々です。
ここでは、行政書士とFPの組み合わせとして注意すべき点、デメリットを挙げていきます。


業務範囲の制限があるため、対応できる内容に限界がある
FP資格を持っているからといって、自由に税務相談や投資助言ができるわけではありません。
税金に関する具体的なアドバイスは税理士の業務です。
FPとしてできるのは一般的な税金の仕組みの説明にとどまります。
同様に、金融商品の具体的な推奨や売買助言を行う場合は、金融商品取引業の登録が必要です。
この辺りの線引きはFP受験勉強の中で学ぶことができます。
行政書士として法的な書類作成を行いながら、FPとしてのアドバイスを提供する際には、どこまで業務が許されるのか慎重に判断する必要があります。
FP資格の維持に時間と費用がかかる
FPには3級、2級、1級、AFP、CFPといった複数のレベルがあります。
特にAFPやCFPの民間資格を維持するには、継続的な学習が求められます。
AFPは2年ごとに更新が必要で、一定の研修を受ける必要があります。
CFPの場合は、より多くの単位を取得しなければならず、時間的・経済的負担が大きくなります。
行政書士としての業務をこなしながら、FP資格の維持に必要な学習を続けるのは、時間的にも金銭的にも負担になりやすいでしょう。
行政書士とFPの業務を両立させるのが難しい
行政書士の業務は、書類作成や許認可手続きなどがメインであり、FPの業務は相談業務や資産計画のアドバイスが中心です。
これらは似ているようで実際の業務内容が異なるため、両方を同時にこなすには高いスキルと時間管理能力が求められます。
例えば、相続の案件を扱う場合、行政書士として遺言書作成や相続手続きを進めつつ、FPとして資産承継のアドバイスを提供することになります。
顧客との相談時間や準備時間が増え、効率的に業務を進めるのが難しくなることがあります。
集客やマーケティングの戦略が複雑になる
行政書士としての集客と、FPとしての集客では、ターゲット層が異なる場合があります。
例えば、行政書士として会社設立を支援する場合、主な顧客は法人や起業家になりますが、FPとしてライフプラン相談を行う場合は、主に個人や家庭がターゲットになります。
どちらのサービスを前面に押し出すのかを決めないと、マーケティングの方向性がぶれてしまい、どちらの業務もうまく集客できない可能性があります。
特に、名刺やホームページ、SNSの運用などで「行政書士業務」「FP業務」どちらをメインにするか明確にしないと、顧客に伝わりづらくなることがあります。
FP業務の収益化が難しい場合がある
FPとしての業務を収益化するには、相談料を設定するか、保険や金融商品の紹介手数料を得るなどの方法があります。
ですが日本ではまだFPにお金を払って相談する文化が根付いていないため、行政書士業務と比べると、FP業務だけで安定した収益を得るのは難しいことが多いです。
また、相談料を設定する場合、競争が激しく、価格を下げざるを得ないこともあります。
行政書士の業務と組み合わせることで付加価値を高められるものの、どのようにマネタイズするかを慎重に考えることが重要です。
初期投資が増える可能性
FP業務を行う場合、専用のソフトウェア(家計診断ツールやシミュレーションソフト)などの導入が必要になることがあります。
行政書士もFPも、どのようなパソコンやソフトを使うのか、環境整備もまた重要な経営の要素の1つです。
当然職種が異なれば、必要なソフトが違うことが考えられるので、初期投資が増えてしまうことも考えられます。
この辺りは事業計画や掛かるお金の計画は慎重に進める必要があります。
行政書士とFP資格を活かすためのポイント



漠然とした計画ではどっちつかずで失敗の可能性も!
やっぱり事業計画って大事ですよね。
行政書士とFP資格を併用することで、ワンストップでのサービス提供が可能になりますが、うまく活用するには、ターゲットを明確にし、収益化の仕組みを整えることが大切です。
適切な情報発信や他士業との連携を活かし、行政書士としての業務にFPの知識を加えて、より価値のあるサービスを提供できるかが、運命の分かれ道なのでしょう。
専門分野を決めて特化する
行政書士とFPの資格を持っているからといって、すべての業務を手広く扱うのは非効率になりがちです。
どの分野で行政書士業務とFPの知識を組み合わせるかを明確にすることで、サービスの質を高めていく方が効率的と考えます。
例えば、相続・遺言業務に特化するなら、「遺言書の作成支援+相続税対策のアドバイス」といった形で提供できます。
また会社設立支援に特化するなら、「法人設立手続き+資金計画や節税アドバイス」などが考えられます。
自分の得意分野にフォーカスすることで、他の行政書士との差別化も可能になります。
FPの知識を活かした情報発信を積極的に行う
FP資格を活かすためには、集客につなげる仕組みが必要です。
そのため、ブログやSNS、セミナーなどで積極的に情報発信を行うのがおすすめです。
これはどちらかと言えば、行政書士よりもFPの方が内容的に発信しやすい傾向にあるのではないでしょうか。
特に、相続対策やライフプランニングの分野では、顧客が「自分ごと」として関心を持ちやすいため、役立つ情報を発信することで信頼を得やすくなります。
例えば、「相続手続きをスムーズに進めるためのポイント」「老後資金はいくら必要か」といったテーマで記事や動画を作成すれば、見込み客を引き寄せる可能性が見いだせます。
料金体系を明確にし、収益化の仕組みを作る
FPの相談業務は「無料相談」だとビジネスとして成り立ちにくく、しっかりと収益を上げるには有料のコンサルティングや顧問契約の仕組みを作る必要があります。
「初回相談は無料、具体的なプラン作成は有料」といった形で段階的に料金を設定すると、顧客も利用しやすくなります。
また、相続相談や事業承継支援などの高単価業務と組み合わせることで、行政書士業務の収益性を高めることも可能です。
料金体系は商品が目に見えない職種なだけに、お客様側も強く気にされる面であると言えます。
クリーンで透明なイメージを打ち出すためにも、分かりやすく情報整理をしておく必要がありますね。
他士業との連携を強化する
行政書士とFPの知識を活かせる場面は多いですが、それでも対応できない領域があります。
例えば、税務の具体的な相談には税理士、登記業務には司法書士が必要になるため、これらの専門家と連携できるネットワークを構築しておくことが重要です。
特に相続や事業承継の分野では、税理士や司法書士、社労士などとチームを組むことで、より幅広いサービスを提供でき、顧客の満足度向上につながります。
行政書士業務との相乗効果を意識してサービス設計をする
FPの知識を活かしつつも、行政書士の本業である「書類作成・許認可手続き」との相乗効果を意識することが重要です。
ただFP相談を行うだけではなく、それを行政書士業務につなげる工夫が必要です。
でないと行政書士としての仕事が成り立ちませんよね。
例えば、ライフプラン相談の中で「遺言書の作成」や「家族信託の提案」につなげたり、法人向けの資金計画相談から「事業承継の手続き」につなげたりすることで、継続的に案件を獲得しやすくなります。
行政書士とFP、それぞれの強みを活かしたサービス設計を考えることが重要です。
今回のまとめ。街の身近な法律家として行政書士とFPの相性は良い
行政書士とFP資格の組み合わせは、相続、事業支援、ライフプラン相談など、幅広い分野で活かすことができます。
行政書士としての法的なサポートに加え、FPとしての資産管理やお金のアドバイスができれば、より総合的なサービスを提供できると考えます。
特に、業務件数として今後も増えると考えられる、相続や事業承継の相談では「書類の作成・手続き」だけでなく「財産管理や将来の設計」に関する助言が求められるため、行政書士とFPの資格を活かせる場面が多くあるのではないでしょうか。
さらに、相談から申請までワンストップで対応できる行政書士は、顧客にとっても相談しやすい存在となり、信頼を得やすくなるでしょう。
ただし注意が必要なのは、
- 業務範囲の制限
- 資格維持の負担
- 集客戦略の難しさ
などといった課題も考えられるため、自分がどの分野に特化するかを考え、継続的にスキルを磨くことが大切です。
そう、日々勉強なんだなと、考えさせられますね。
情報発信や他士業との連携を活用しながら、「街の身近な法律家」として行政書士とFPの強みを最大限に活かしていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。