行政書士の開業について色々WEB検索をしていたりすると、行政書士資格とプラスαで、別の資格がおすすめされている記事を見かけます。
いわゆるダブルライセンスと言われるものですね。
私は2024年12月現在、生活状況や資金繰りの関係で、まだまだ開業をすることができず、今は未来を見据えて、水面下でこのブログを書きつつ、色々調べているところです。
行政書士試験に合格したことで、受験勉強から離れてその分の時間があるので、正直なところダブルライセンス取得も頭をよぎります。
ダブルライセンスがあることで、業務の幅が広がるのは確かです。
そして行政書士は食えないとよく言われていることから、保険としてダブルライセンスがあった方が開業した際に、成功しやすいのではないか、とも考えてしまいます。
でも、ちょっと待って。
ダブルライセンスって本当に必要なの?
ダブルライセンスの記事を読んでいると、とても魅力的に思えてきますし、反面、本当に行政書士の開業に、自分自身に必要なのか半信半疑な面もあるのが、私の正直な気持ちです。
もちろん行政書士とダブルライセンスで成功されている方もいらっしゃるので、その方々には羨望のまなざしを送っているのも現在の私です。
何か、結構色々チョロイ私が浮き彫りに……
今回は私自身もモヤモヤしているところがあるので、ダブルライセンスのメリットデメリットの観点から、行政書士にダブルライセンスは本当に必要なのか、を考えていきます。
そもそもダズルライセンスとは何か、とその考え方
ダブルライセンスとは、ある分野の資格を持つ人が、さらに別の分野の資格を取得することをいいます。
この記事をお読みいただいている方であれば、行政書士としての資格に加え、司法書士や社会保険労務士など、行政書士の仕事に関連性のある資格を取得するのが、当てはまります。
行政書士に関連性のある資格を取得することにより、
- できる業務の幅が広がる
- ダブルライセンス取得により、信頼度がアップする
などのメリットが挙げられます。
何だかダブルライセンスのメリットだけを見ると、とても魅力的に思えてきます。
しかし行政書士として開業するためには、このダブルライセンスは必須ではありませんよね。
行政書士業務の基本は法務手続きのサポートにあり、まずは行政書士資格そのものが重要です。
行政書士試験に合格して、登録と開業をすれば、行政書士と名乗り業務を行うことができます。
一方ダズルライセンスは、特定の業務を強化したい場合には有効で、強い味方になるのは言うまでもありません。
ですがすべての行政書士が必要とするものではないということは、念頭においておく必要があります。
行政書士としてダブルライセンスを取得するかどうかは、
- 将来どのような業務を行いたいか
- どの分野で専門性を高めたいか
という、行政書士として仕事をする上での方向性がカギとなるでしょう。
自分が行政書士を開業後、どのような事業展開をしたいのか、のビジョンが大事ということですね。
それによってダブルライセンスがあった方が、よりよいサービスを提供できる場合もあるので、その時は必要なダブルライセンスの取得に踏み切るのでも遅くはないと考えます。
行政書士を開業して1つづつ積み上げ、経験をし、更にステップアップという意味合いでも良いのではないでしょうか。
自分が不器用なので、慣れない多くのことを一気にこなすのが難しそうだと感じているのも、要因の1つです。
多くをやりすぎ失敗するパターンが見えてしまうのです。
また考え方によっては、知識習得の先にダブルライセンスの資格がある、ということでも良いと思います。
例えば私は2022年に行政書士試験の勉強の合間に、ファイナンシャルプランナー3級を取得しました。
資格はあるに越したことはないかもしれませんが、私はファイナンシャルプランナー3級の取得を特に目指していたわけではありませんでした。
きっかけは、人生で損をしない知識を知りたかったから!
ファイナンシャルプランナーで勉強する内容は、法律であったり税金であったり投資であったりと幅広く、かといって自分で勉強や情報収集をしなくては、誰も教えてくれない内容です。
私自身、出歩けない母の面倒を見ていて、あまりに貧乏なため、少しでも生活で損をしたくない!と考え、生活にまつわるお金問題を取り上げているファイナンシャルプランナーの勉強内容がちょうどよかったんです。
資格用のテキストであれば、最低限必要なことが、何と!丁寧にまとまって載っています。
テキストをちょっと読んでみよう、せっかくなら理解度チェックのために試験を受けよう、そんなノリでした。
当時Twitter(現X)をやっていたので、このことについてツイートしていました。
ファイナンシャルプランナーは意味ないと言われたこともあります(行政書士のときも言われました)。
反対にファイナンシャルプランナーを勉強中の方々とやり取りする機会も、受験仲間として増えました。
私と同じように、人生で損をしないために勉強する、その先に資格という結果がある、という方々も多かったことに親近感が湧いた記憶が鮮明に残っています。
ちょっと横道にそれましたが、資格取得の目的はそれぞれです。
行政書士開業の実務にダブルライセンスを取り入れるにしても、自分に何がどう必要なのか、取捨選択する目が必要なのでは、と考える今日この頃です。
(考えが甘い!とお叱りを受けそうですが…)
ダブルライセンスのメリット
とはいえ、やっぱり気になるダブルライセンス。
ここからはまずダブルライセンスを取得することのメリットを考えていきます。
行政書士開業にあたり、ダブルライセンスを取得することのメリットを見ていきます。
あくまでもベースになるのは行政書士の資格です。
行政書士資格を元に、どう事業を展開していきたいのか、何を業務として行いたいのかを一緒に考えながら、読み進めていただくと、イメージがしやすく、自分にダブルライセンスが必要なのか否か、判断しやすいと思います。
では、行政書士資格プラスαのダブルライセンスのメリットは、以下が考えられます。
- 行政書士業務の範囲拡大
- 競合との差別化
- 収益源の多様化
- ワンストップサービス
- 信頼度の向上
どれもこれも、ダブルライセンスを獲得したからと言って、必ず成功するわけではありませんが、事業を行う上での差別化ができるというのは大きなアドバンテージであることは確かです。
少し細かく見ていきます。
行政書士業務の範囲拡大
行政書士の資格の他にダブルライセンスを取得すれば、当然やれることが増えるので、行政書士の開業に業務の幅が広がります。
例えば、司法書士の資格を取得し、司法書士にも登録し兼業することで、許認可申請業務に加え、不動産登記などの業務も取り扱えます。
また会社設立業務を行政書士として受注する場合は、定款の作成や認証の代行は行えますが、その先の設立の登記は行政書士では行えません。
会社設立の登記は、司法書士の職域なので、司法書士を取得して登録すれば、その先の業務まで自分で行うことができます。
このように自分が行政書士として何の業務を行うのかによって、ダブルライセンスを取得することで、業務の幅がグンと広がります。
他の行政書士(競合)との差別化ができる
行政書士資格の他にダブルライセンスを取得することで、競合の行政書士と差別化ができます。
先に上げた会社設立の例題のように、行政書士のやれる範囲だと、定款の作成や認証の代行までで、その先の会社設立の登記は司法書士の業務範囲になります。
会社設立の業務では、会社を設立することが最終目標なのに、行政書士は途中までしか関わることができないんですね。
それがダブルライセンスで司法書士の登録をしていれば、会社設立の登記まで行え、最初から最後まで会社設立に対して携わることができるようになります。
信頼できる1人の人に仕事を任せたいと思うクライアント様もいらっしゃると思われるので、そんな時はお仕事獲得のチャンスでもあります。
一般的には、行政書士が何の仕事をする、司法書士が何の仕事をするというのは、あまり知られていません。
私も行政書士の勉強を始めるまでは、資格の名称は知っていても、仕事内容はよく知りませんでした。
ダブルライセンスを持っていれば、自分の事務所のホームページに、持っている資格や受注できる仕事内容を、その分広く記載できるので、お仕事を依頼したい側からしたら、お仕事を頼みやすい状況になります。
行政書士の仕事プラスαの業務範囲拡大で、他の行政書士との差別化を強く推すことができますね。
収益源の多様化
当然のことながら、行政書士以外のダブルライセンスを持つことで、やれることが増えるわけですから、その分収益源が増えることになります。
資格ごとに業務範囲が異なるため、収入の柱が増え、一つの資格に依存しない事務所経営が可能になります。
ワンストップサービスで顧客満足度がアップ
行政書士を始めとした各種資格があるということは、いわば分業されているということになります。
先に挙げた会社設立も分かりやすい例ですが、相続関係のお仕事でも同様に考えられます。
行政書士も相続業務のお仕事に携わることができますが、相続に関わる不動産の登記に関しては、司法書士の業務範囲です。
相続に関しては特に家族、個人に関わる内容なので、色々手間を掛けたくないと考えるのは自然な流れです。
そうなると、行政書士の他司法書士の資格もダブルライセンスとして持っていれば、相続の相談、書類作成から、相続の不動産登記まで、相続に関する一連の内容を自分で完結することができるようになります。
もちろん事案によっては弁護士が入ることもあります。
複雑な相続案件でなければ、行政書士と司法書士のダブルライセンスで完結できます。
依頼者が複数の法律の専門家に依頼する手間を省き、一人で対応できるため、依頼者側の手間が減り、顧客満足度が向上します。
信頼度がアップする
行政書士とダブルライセンスを掲げることで、信頼度がアップしやすくなります。
何の資格が何の仕事をするかというのは、一般的にはとても分かりにくいですよね。
むしろ知らない方の方が多いのではないでしょうか。
そんなとき、ダブルライセンスがあることで、専門性が高いと評価されたり、この案件はより詳しいのではないかと考えられる指針になり、信頼度アップに繋がりやすいと言えます。
お仕事を依頼していただくには、特に信頼度は重要な要素です。
付き合いのあるクライアント様でない限り、通常は自分が依頼したい案件について調べた上で、お問い合わせが入りますよね。
依頼者側からしたら、見ず知らずの人に連絡を入れるわけですから、ファーストステップの判断材料としては、ダブルライセンスによる専門性は、大きな評価基準の1つと考えられるのです。
ダブルライセンスのデメリット
ダブルライセンスはメリットばかりではありません。
デメリットも知って、自分の行政書士開業に必要なのか、判断材料の1つにしてみてください。
行政書士+αのダブルライセンスのメリットだけを見ていると、何だかすごくいいことのように思えてなりません。
難しい試験に突破してダブルライセンスを手にするのですから、やはり相応の恩恵はあるかもしれません。
ですが本当に自分の行政書士開業にとって、ダブルライセンスは必要なのでしょうか。
自分にとってダズルライセンスが本当に役立つ場面がどれだけあるのかを、冷静に見極めることが重要です。
ここではダブルライセンスのデメリットを考えていきます。
- ダブルライセンス取得コストと時間の負担
- 業務の集中が難しくなる
- 各種資格の維持コストの負担
ダブルライセンス取得コストと時間の負担
行政書士資格の他に開業で使えるダブルライセンスを取得するには、勉強時間が必要です。
行政書士試験にやっと合格できたのに、当然ながら新たに試験勉強が勃発するんですね。
試験に合格しないと、資格取得できませんものね。
また勉強するにあたって、予備校の費用であったり、参考書籍であったり、受験に対する諸々の出費が考えられます。
取得する資格にもよりますが、行政書士資格と相性のよい資格になると、行政書士よりも難しい試験であったり、勉強範囲が異なったりしますので、行政書士試験の受験よりも遥かに大変であると、覚悟が必要になります。
業務の集中が難しくなる
ダブルライセンスを取得して業務範囲が拡大すれば、それだけ事業の情報収集や全体の業務の管理が増え、複雑化していきます。
特に行政書士を開業して、どんな仕事をしていくというプランがはっきりしていないと、特定分野の専門性が薄れ、逆に行政書士の仕事に結びつかなくなってしまうことも考えられます。
事業運営をして、合う合わない、など方向転換は早いうちに軌道修正していくべきですが、業務の柱がはっきりしていないと、ダブルライセンスの良さを活かせません。
むしろ行政書士ではない方の資格がメイン業務になり、行政書士廃業という選択も必要になってきます。
各種資格の維持コストの負担
行政書士に登録や開業をする際には、登録料や年会費など資格に登録するには、登録料や年会費などを含めた維持費が必要になります。
当然ダブルライセンスの一方の資格も同様に、お金が掛かります。
ダブルライセンスで事業を運営していくには、コストがそれぞれの資格に対して掛かってしまいます。
事業が安定していけば、コストに関しては問題ないかもしれませんが、ある意味これが首を絞めてしまうことも考えられます。
ダブルライセンスはいいことばかりではなく、このようなでデメリットがあることも考えにいれつつ、取り入れるか考える必要がありますね。
また私のように開業していない場合やすぐに開業しない場合は、ダブルライセンスは選択肢の1つ、知識の吸収の1つとして、他資格を勉強するのもアリだと思っています。
資格を取得するための勉強に、最低限書籍代など費用はかかりますが、合格後資格を取得しているだけではお金はかかりませんので。
行政書士の業務としてダブルライセンスの有用性を考える
ダブルライセンスのメリットとデメリットを確認したところで、実際の行政書士の業務として、ダブルライセンスの有用性はどうなんでしょうか。
行政書士として開業する際にまず必要と考えられるのは、基本的な実務スキルやビジネスマネジメント能力です。
行政書士は稼げない、廃業率が高いとマイナス的な面で言われるのは、特にビジネスマネジメント能力が低く、事務所の運営がうまくいかないからではないかと考えます。
そもそも行政書士として資格を取得しても、資格があるからといって仕事が降って沸くことはありません。
特に司法試験や司法書士よりも、仕事の範囲が一般的に見て不明瞭で、代書屋というイメージがあるため、仕事の獲得や事務所の運営は難しいのではないかと考えます。
大手事務所に入って行政書士の仕事をする、といケースもあるでしょうが、多くの方が開業の道に進まれています。
行政書士は士業と言われますが、開業色の強い資格で、開業するということは、自分が会社の経営者、つまり事業主になるということです。
行政書士として仕事をすることと、開業して事業主になるということを、別軸で考えていませんか?
少し横道にズレた感じもしますが、行政書士開業をした際にまず気にすべきは、どのように事務所を運営していくかではないでしょうか。
行政書士として開業するのですから、行政書士のどの業務を事業として行う、どのように経営、マネジメントしていくということをまずは考えるべきです。
事務所運営が滞ると、それこそ廃業へまっしぐらですから。
そのうえで、自分の目指す業務に応じた資格を取得するとよいでしょう。
ダズルライセンスが自分の目指す方向性と一致するなら検討すべきですが、必ずしも優先度が高いわけではありません。
行政書士としてどの分野に特化するかで、ダズルライセンスの必要性が変わります。
たとえば、飲食店営業許可や農地転用など、具体的な業務に絞る場合には、関連資格の方が実務に直結することが多いです。
ダブルライセンスがあることで、より専門性を強く打ち出せますし、ワンストップサービスで顧客満足度もアップしやすいでしょう。
そうすることで信頼度もアップしやすくなります。
ですがまず考えるべきことは、自分が目指す分野を明確にした上で、ダズルライセンスがどれほど有用かを検討する必要があります。
行政書士の他ダブルライセンスがあると、メリットの点から言っても強みであることには変わりありません。
行政書士もダブルライセンスの資格も、あくまでも開業して事業を行う上での1つの手段です。
その資格を活かすも無にするも、自分次第ということを、常に忘れずにいようと心に刻んでいます。
今回のまとめ。本当に行政書士にダブルライセンスは必要なのか
行政書士資格の他のダブルライセンスは、自分が開業して事業を行うのに本当に必要かどうかで判断すべき。
正直なところダズルライセンスがなくても、行政書士としてできる業務は非常に多いです。
行政書士が扱える書類の数は1万以上と言われているからです。
中にはレアな書類もあるでしょうが、それでも数が多いというのに間違いはありませんよね。
その中で、行政書士として仕事をするために、ブルーオーシャンの業務であったり、工夫により、行政書士として活動していく芽はあると感じています。
行政書士として成功するためには、まず基本業務をしっかりとこなし、その上で、自分の強みを生かせる分野を見つけ、専門性を磨いていくべきです。
その中でダズルライセンスはあくまで選択肢の一つであり、必要以上にこだわるべきではないのではないでしょうか。
現に行政書士の資格のみで、成功されている方や、長年事務所を運営されている方も多くいらっしゃいますよね。
たとえば、企業設立支援や相続関連の書類作成など、多くの人に求められる業務があります。
まずは基本的な業務を充実させ、その後で必要に応じてダブルライセンスとして、追加資格を検討するのが現実的であると考えます。
またダブルライセンスを活用していくにしても、登録料や業務の管理など、業務以外の部分に目を向ける必要もあります。
ダズルライセンスは一部の業務で有用かもしれませんが、それ以上に重要なのは、自分の目指す方向性を明確にすることではないでしょうか。
またすぐに行政書士を開業しない場合に、知識の補充の一環として、他資格を勉強するというのもありかもしれませんね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。